私の汗の悩み歴とこのサイトに寄せる思い

このサイトに寄せる私の思い

私が若い頃「どうして私だけ、こんなに汗をかいて、服にはワキ染みができているの」とどれだけ悩んだでことしょう。

あなたも同じような悩みをお持ちかもしれません。

 

いくらお金を払ってでも、他のみんなのように、汗を気にせずに生きていきたいと思いました。

そして、いろいろなグッズや治療にお金と時間を費やしました。

 

私は医学部に進み、現在も現役で医師として働いていますが、医学生の時に相談した皮膚科の医者も、あまりいろいろな情報はくれませんでした。(無料で相談したからでしょうか。笑)

 

今から思うと、もっといろいろ情報があったら「効率よく、自分にあった治療が得られたのに」と思います。

インターネットは私が20代になるまで、普通の人が使えるようなものではなかったので、しょうがないのですが。

現在のように、携帯からでも、気軽にいろいろなウェブサイトから情報が得られるのとは違う世代でした。

 

今では、自分はもう中年を越して、汗もあまり出なくなったし、ノースリーブの素敵な服を着たいという願望も失せたので(笑)自分の長年のワキと汗とのバトルは忘れていました。

ところが、最近ティーンエージャーになった娘が

「ワキの汗がみんなより多くて、シミができて恥ずかしい」

と訴え始めたのです。

ショックでした。

確かに他の子供は汗をかいていない時に、彼女のワキの下だけ、汗染みがついているのです!!!

 

自分が辛い思いをした頃を思い出し「なんとかしてあげたい」という思いで、現時点でワキの悩みの治療法として勧められているものを調べ始めました。

世の中には非常に多くサイトがあります。

素晴らしいサイトをたくさん見ました。

ただ、中には、明らかに他のサイトをただコピペしただけで、何が正しい情報かを見極められていない無責任なサイトもあります。

これでは、多汗症で悩む人たちが、

これはただの宣伝なのだろうか?

これは信用してもいい情報なのだろうか?

と、さらに不要なことで悩まないといけません。

 

そんな事から、このサイトではまず医学的な事を説明する事に一番の重点を置いています。

それに基づき、それぞれの治療がどういうものかを説明。

治療のガイドラインなども示し、できるだけ効果があるという証拠(エビデンス)があるものを優先して紹介しています。

 

 

だからと言って、証拠がないものがあなたに効かないと、という訳ではありません。

エビデンスがあると言えるには、統計学的に処理できるほどの、大規模な医学的な研究がなされないといけないので、もちろんすべてのことに、それができる訳ではありません。

また、現時点でエビエンスがある、と言われた『事実』も次に大規模な研究の結果が出た時に、覆されるようなことも起こるのです。

 

ただやみくもに、高い商品を買って試したり、自分でよくわかっていない治療法を試す前に、このサイトを利用して、基本的な知識をつけ、最短距離でご自分にあったものを見つけて欲しいなあと思うのです。

 

このサイトに出てくるDr. かんな(汗無)は私の分身であり、また数十年前に私の周りにいてくれたら良かったな、と思うお医者さんです。

尾鷲きらりちゃんは、数十年前の私であり、私の娘であり、他の多汗症で悩む方々の代表でもあります。

 

これからは、私の汗とのバトル歴です。ご興味のある方はお読みください。

私の汗の悩みとのバトル歴

 

初めて自分が周りのみんなと違う、と気がついたのは小学生高学年の時でした。

 

「周りの友達はみんな少ししか汗かいていないのに、どうして私だけ体育のシャツが汗でべったりなんだろう?」

私の場合は、ワキの下だけではありませんでした。顔も胸も、体全体から暑くなると汗がたくさん出ました。でも暑くなければ、あまり気にならないので、それほど悩むところまで行っていませんでした。

でも、これが症状の始まりのだったのです。

中学校は、バスで通う私立の学校に通うことになりました。

制服はブレザーで、毎日バスは満員。よっぽど朝早く家を出るか、夜に学校から帰ってくることがなければ、冷房の効かない満員バスにかなりぎゅうぎゅう詰めでした。

その中で、ハンカチで額の汗を拭いているのは私だけ!

もちろん額はみんなに見えるところですが、制服の下ではワキのしたが汗でいつも濡れていました。厚いブレザーの生地の表面まで、ワキの下が濡れているのがわかりました。

もちろん、その下の白いブラウスはベタベタです。

毎日ブラウスを洗っていても、ワキの下はだんだん黄色いシミができてきます。

プレザーはそんなに簡単に洗濯に出せないのと、濡れたまま着ているのでワキの下の布がヨレヨレになってきます。

ただブラウスだけだと、周りの人からワキの汗染みが見えるので、暑くても目立ちにくいようにわざわざブレザーを着ることもありました。

父親も汗かきで、ワキガもありました。遺伝ですね。

両親は私の悩みをわかってくれるような人たちではありませんでした。

 

ロールオンやスプレーの汗止めなど使ってみましたが、何も効果があるものはありませんでした。

かわいい洋服を買っても、一回着るとすぐ洗濯しないと汗染みができでしまうので、結局手軽に家で洗濯できるような服しか買えません。スーツなども、「汗はかかなかった」と思ってそのまま吊るしておくと、次回着る時に汗のシミがついていたりしました。

大学に進んでから気になり始めたことは、緊張するとワキ、手、顔にすごく汗をかくということでした。

それまでは、多くの人の前で何かやって緊張するということがあまりありませんでしたので、たまに緊張で汗をかくことがあっても、あまり気にしていませんでした。

『緊張』と言っても、大した緊張でなくても手のひらや顔、ワキからみるみるうちに汗が噴き出してくるのです。

この時(医学生の時です)初めて、医者にかかることを決心しました。

最初は皮膚科の医師にアルミニウムの入った塗り薬を試すように言われました。

すごく効果を期待していたのですが、あまり変化はありませんでした。

今から思うともう少し続けてみるべきだったと思うのですが、自分としては『魔法の杖』のように効くものを想像していたので、かなりがっかりしたのを覚えています。

次に医者にかかったのは、大学を卒業して仕事をし始めた後。

外科医になった私は、仕事では手術着として、綿の色付きのトップを着ることが多く、ワキの汗をかいていることがすぐに周りの人に見えてしまいます。

術着の下に汗取りパッドがついた下着をつけたりとか、できるだけの対策をしました。

暑くてもその上に白衣を着ていました。(白い厚めの布は、ワキが濡れているのがわかりにくかったので)

 

この時は、ワキの下の汗腺を取る手術をしました。今のようにいろいろな治療法がある時代でなく、あったとしてもその情報を知ることも難しかったのです。

誰にも相談せず、同僚も知らなかったと思います。

しばらく、腕をあげたりすることが禁止されていましたが、なんとか気づかれずに仕事を続けました。

毛根も一緒にとってしまうのでワキの毛を剃ったりする必要もなくなりました。

 

これでかなり私のワキコンプレックスは少なくなったのですが、ただワキの下には手術の後があるので、モデルさんのように、ツルツルすべすべの肌にはなりません。

30年以上たった今では、ちょっとみには手術を受けたことはわからないと思います。でも、ノースリーブの服を着て、涼しげに振る舞い、自信を持って腕を上げたりするなんてことは、小学生の頃を最後に、その後はしたことがありません。

 

ただ、私の汗との戦いはここでは終わりませんでした。

ワキの汗は手術でかなりよくなったのですが、緊張すると顔や体、手のひらが汗でベタベタになるのは、もちろん変わりませんでした。

緊張すると汗が出る → 恥ずかしくてもっと緊張する → もっと汗が出る と言う悪循環でした。

緊張を解く方法をいろいろ自分ながら試してみたのですが、そんなに急に効くものではありません。

 

結局、顔の汗をなんとかしたくて、胸腔鏡下胸部交感神経遮断術を受けました。

この手術は、ある程度効果があったと思います。ただその病院では一度に片側しか手術をしないということでした。今では両側手術する病院はあります。もしかしたらその時はあまり病院側も経験がなかったのかもしれません。

 

それから、数十年たち......................

現在は暑い環境は避けられる状況のため、あまり汗に悩まされることもありません。もう若いとは言えない年齢なので、それも汗の減少に繋がっているのかもしれません。

ただ最近私の娘が『ワキの汗が多い』と悩みだしました。

遺伝が強く関与しているので、娘に申し訳なく思いとともに、私と同じ辛い思いをしなくて済むように、なんとか効果的な治療方法を探して、悩みを解消してあげたいと考えました。

『現役医師が奨める多汗症の治療』に載せている商品や治療法のほとんどは、多汗症の治療指針に従っています。

母親として、医師として、私が自分の娘に試してみたくないものは、ほとんど記事には入っていません。(記事の中には選択肢として出てくるかもしれませんが、Dr.かんなは推奨していません。)

 

このウェブサイトが多汗症で悩む方々、また汗の悩みを持つお子さんがいるご両親のお役に立てばこれ以上嬉しいことはありません。

 

 

 

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