もちろん多汗症は、アメリカでも見られる疾患で、ガイドラインが作られています。

2018年に加えられた治療法も入っているので、紹介しますね。
手足の多汗症治療ガイドライン
以下がアメリカで使われている多汗症の治療のガイドラインです。
(この記事のガイドラインは、International Hyperhidorosis(多汗症)Societyのウェブサイトを参照にしています。治療の選択順がわかりやすいように、オリジナルを編集してあります。)
第1選択の治療法
手足に関しては、第1選択は
- アルミニウム、またはジルコニウム入りの制汗剤、または
- イオントフォレーシス
となっています。


イオントフォレーシスの効果がなければ、治療の頻度を変える、水道水の中のミネラルの量を変えるということのほかに、抗コリン薬を水道水の中に入れて、イオントフォレーシスを行います。
アルミニウム入り制汗剤やイオントフォレーシスについての詳細は、以下の記事を参照してください。
第2選択の治療法
制汗剤やイオントフォレーシスが効かなければ、ボトックスの注射が次の選択肢です。
第3選択の治療法
ボトックスの注射が効果なければ、別の治療に進む前に、注射の仕方や量など見直して、ボトックス注射による治療を再度試してみます。
第4選択の治療法
ボトックスの効果がやはり見られないということであれば、薬の内服による治療を考慮します。
手の多汗症の場合は、胸腔鏡による交感神経遮断術(ET)を考慮しますが、リスクがいろいろな意味で高い治療ですので、術前に患者さんと医師との間で、十分な話し合いが必要です。
足の多汗症には、胸腔鏡による交感神経遮断術は全く効果がありませんので、治療の選択肢として考慮されることはありません。
ワキの多汗症治療ガイドライン
こちらはワキの多汗症のガイドラインです。
(こちらも、治療の選択順がわかりやすいように、オリジナルを編集してあります。)
第1選択の治療法
ワキの場合は、まずアルミニウムかジルコニウム入りの制汗剤が第一選択です。
第2選択の治療法
もしも、それで満足いく結果が得られなかった場合は、3つの選択肢があります。
- ボトックスの注射
- グリコピロニウムの布 (Qbrexza)
- 電磁波・マイクロ波による治療 (miraDry)
です。
ボトックスは、日本と同じですね。
グリコピロニウムの布 (Qbrexza)




Qbrexzaは臨床試験を通って、2018年にFDAの許可が出たばかり。アメリカでは手に入れるのに、医師の処方箋が入ります。
一枚ずつパックされたウェットワイプみたいな感じで、販売されています。
開封して、両脇を1日一回Qbrexzaの布で拭いて、それで使い捨てのようです。
現時点では、30日分でUS$550-600ぐらい(6万円ちょっと)なので、そんなに誰でも使えるわけではないですよね。

ミラドライ(miraDry)

ミラドライの治療は、アメリカでは一回$2000-3000くらいのようです(22万から33万円)。
日本より少し安いかもしれませんが、ほとんど同じ。
ミラドライの治療も、経済的な理由でそんなに簡単に治療を受けられないアメリカ人も多そうですよね。
顔面の多汗症治療ガイドライン
顔面については
制汗剤 → ボトックス → 経口薬 → 交換神経遮断術を考慮
という順番に、治療がエスカレートしていきます。

