多汗症は正式な皮膚科疾患です。以下に、これらが医療の場でどのように治療されているのかを説明します。
専門的な話も出てきますが、できるだけわかりやすく説明しますね。
多汗症の診断・治療
日本皮膚科学会は『原発性局所多汗症診療ガイドライン』というものを発行しています。もっとも最近では2015 年に改訂版が出されました。
これには手、足、ワキに対する治療が含まれています。
ガイドラインというのは、いろいろな領域で作られているのです。
医療の場面では、ある疾患を診断・治療するのにどのような方法が(そのガイドラインが作られた時点で)効果的であるという証拠に基づき、医師がその疾患の患者さんを診療する際に、どのような診断・治療を行うべきかという事が書かれています。

診断・治療の根拠
これまでどのような研究結果があるかによって、それぞれの診断方法・治療方法が役に立つ、信頼できるものかどうか、ランク付けされています。
診断・治療のうち、”強く勧められるもの”は" A "= 効果があるというエビデンスが高いもの。
その下の" B "は”勧められる”。
" C1 "は”行うことを考慮してもいいが、十分な根拠がない”。
" C2 "は”根拠がなくて勧められない”。これは有効であるというエビデンスがないか、無効であるというエビデンスがあるもの。
最後の" D "は”行わないように勧められるもの”で、”無効である、または有害であるというエビデンスがある”ものです。

”良い、または悪いエビデンスがある”と言えるには、それだけの質の研究をしないといけないので、それがされない限りはA、BやDにはなりません。

有害であるとか、無効であるという十分なエビデンスがあるものは、使うべきではないと思いますが、「それ以外のものは使う意味はないか」というと、そういう訳ではないと思います。
どんな治療でも、あなたが効果があると確信できれば、有害な作用がない限り個人で使用することに問題はないと私は思います。


多汗症の診断基準

1)最初に症状がでるのが 25 歳以下であること
2)対称性に発汗がみられること
3)睡眠中は発汗が止まっていること
4)1 週間に 1 回以上多汗のエピソードがあること
5)家族歴がみられること
6)それらによって日常生活に支障をきたすこと



これは手の多汗症のガイドラインです(皮膚科学会のガイドラインより抜粋)。足の場合はほとんど同じですが、最後の”交感神経切除術”は入っていません。
これはワキの多汗症の治療ガイドライン(皮膚科学会のガイドラインより抜粋)。
最後が、顔の多汗症のガイドラインです(皮膚科学会のガイドラインより抜粋)。
様々な治療方法
塩化アルミニウム入り制汗剤
局所多汗症の治療では
塩化アルミニウムの単純/ODT (occlusive dressing technique)外用はまず全ての部位 に対して第 1 選択にすることが推奨される(手掌,腋 窩:推奨度 B,足底:推奨度 C1,頭部顔面多汗症 B~ C1).
とあります。


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塩化アルミニウム入り制汗剤の効果や副作用は?汗を抑える機序やおすすめ商品も紹介します。
ボツリヌス製剤の注射
もしも、塩化アルミニウムが効かなければ、ワキに関しては、ボツリヌス製剤の注射が次に推奨されています。
日本では2012年に重症の腋下多汗症には、ボツリヌス製剤の注射 (ボトックス) が保険適応になりました。(手足に関しては、現在のところ、保険適応はありません。)

お医者さんのクリニックで私のワキの汗を止めるためにボトックスを注射してもらったら、保険がきくんですね。
知らなかった!
イオントフォレーシス

ガイドラインにも入っています。
もっと知りたかったら、この記事も読んでみて下さいね。

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イオントフォレーシスは多汗症に効果あり?ドライオニック、ダーマドライ、サーリオ等家庭用機器も紹介
イオントフォレーシスについては、ガイドラインでは以下のように述べらています。
イオントフォレーシスは,手掌,足底には非常に有効な治療法であり,塩化アルミニウム外用療法と並び 推奨度 B で第一治療法とした.簡便かつ保険適用となっている治療でもあり,機器の普及が今後 望まれる
イオントフォレーシスは、手と足の多汗症に保険適応があります。(ワキに関しては、現在のところ保険適応はありません。)
推奨度は掌蹠多汗症 B,腋窩多汗症 C1,頭部顔面多汗症 C2、です。

いろいろ悩んでいたけれど、何か未来が明るくなってきた感じがします。
それを知らずに、きらりちゃんみたいに悩んでいる人が、この世の中にはたくさんいるの。
多くの人が正しい知識を持って、多汗症に悩まされない生活を送れるようになって欲しいなと思います。

その他の療法
その他は、神経ブロック、レーザー療法( C1 )、内服療法、精神療法( C2 )となっています。
胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(ETS)は本人の強い希望があれば( C1 )ということです。



それらも別のページで説明しますので、きらりちゃんがもっと知りたかったら、勉強していきましょうね。

